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3.外傷や異所萌出による咬合不全例

噛まない子、噛めない子が増えてきたと言われている。

 
QOL(Quality of Life)の理念のもと、健康に長生きするためには、健全な咀嚼機能を維持することが重要であり、そのためには小児学童期から成長・発育の観点にたって咀嚼機能を育成していくことが大切であることは、論を待たない。 保育園や幼稚園の現場、小学校の養護の先生方や、学童の健康診断などを通じて、「噛まない子」、「噛めない子」が多くなってきたと、社会問題化してから久しい。しかし、過去に比較して、実態がどうなっているかの、客観的判断はなされていない。また、最近の小中学校での健康診断において、従来より成人の病気と解釈されていた顎関節症が、多く診られる様になったとの報告もある。さらに、東北大学歯学部高齢者歯科の発表にあるように、咬合力の左右非対称性と顎関節症の症状との間には密接な関係があるとも考えられている。そこで、最近の小児・学童の咀嚼機能について、その咬合の状態を正確に測定して、客観的診断基準を明確にすることは、上記の問題点を解決し、厚生省の施策および日本歯科医師会の提唱する「8020運動」の基本精神を前進させるための一助となると考えられる。   
QOL (Quality of Life)の理念のもと、健康に長生きするためには、健全な咀嚼機能を維持することが重要であり、そのためには小児学童期から成長・発育の観点にたって咀嚼機能を育成していくことが大切であることは、論を待ちません。
 保育園や幼稚園の現場、小学校の養護の先生方や、学童の健康診断などを通じて、「噛まない子」、「噛めない子」が多くなってきたと、社会問題化してから久しい。
 そこで、最近の小児・学童の咀嚼機能について、その咬合の状態を正確に測定して、客観的診断基準を明確にすることは重要と考えられます。

保育園・小学校における「咬合圧」の調査
保育園・小学校の歯科検診で採得したデンタルプレスケールの調査結果
参考文献
デンタルプレスケール
1.緒方哲朗、中田稔ら、:デンタルプレスケールを用いた小児の咬合接触状態解析の再現性に関する研究、日本小児 歯科学会雑誌32-3
2.服部佳功、渡辺誠ら、:Dental Prescaleを用いた歯列における咬合力測定、日本補綴歯科学会雑誌38-巻第4号
3.鈴木哲也ら、咬合圧測定システムの臨床応用に関する研究、口腔病学会雑誌第61巻第3号
4.鈴木哲也ら、感圧シートを用いた新しい咬合圧測定システムの有用性、日本補綴歯科学会雑誌38-巻第5号
5.村上弘ら、Dental Prescaleの発色濃度および面積の経時的変化、愛知学院大学歯学会誌、第33巻第3号
6.伊藤裕ら、咬合による印記状態が咬合診査におよぼす影響、愛知学院大学歯学会誌、第33巻第3号
調査結果
保育園(調査対象123名)

調査対象
京都府宇治市立の小学校で、学校歯科健康診断に参加した生徒332名(男:158、女:174)。


調査目的
歯科用咬合圧測定フィルム(デンタルプレスケール)を3秒間きつく噛ませることにより、下記の項目について調査した。
1. 咬合接触状態を把握する。
2. 全歯列の咬合接触面積の大きさを測定する。
3. 咬合力(最大咬合圧、平均咬合圧等)を測定する。
4. 咬合力の重心やバランスの状態を確認する。
5. 混合歯列期の学童の喪失歯(乳歯)の状態と第一大臼歯の咬合力との相関を調査する。
6. 歯牙年齢別、歴年齢別、男女別の咬合力の平均値を算出し、各々の差について比較検討を行う。
7. 不正咬合の状態と、咬合圧の分布状態について調査する。


調査方法
歯科用咬合圧測定フィルム(デンタルプレスケール)を3秒間きつく噛ませることにより、下記の項目について調査した。
1.使用材料:
富士写真フィルム株式会社製の歯科用咬合圧測定フィルム(デンタルプレスケール)滅菌処理済ワックスタイプ
2.資料採得:
口腔内診査の終了した学童に対して、デンタルプレスケールを専用ホルダーに把持して、口腔内に挿入し、約3秒間咬合させた。
3.測定検査:
資料となる全てのデンタルプレスケールの1枚1枚をオクルーザーのスキャナーで読み取り、得られたデーターは全てオクルザー用統計ソフト(DP-Catch)にてパーソナルコンピューター(マッキントッシュ社製 P/M 9500)上で演算し、統計処理を行った。