平成13年10月9日
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5: III級不正咬合の治療モデル

仙台class III シンポジウムの治療モデルは下記のものです。

 初診時、最初の診断時に、重症と中程度・軽症に判別することになっています。Skeletal Discrepancy による判定ですが、実際にはSN基準かFH基準なのか、ANBやFacial Angleの何度(SD量)が境目なのかは、あまり明示されていません。さらに、過去にも判別式が発表されていますが、わたくしのような矯正臨床医には馴染みにくい計算式です。
 しかし、class III症例の治療プロセスについては、これではっきりと整理できました。



 わたくしが近畿矯正歯科研究会で発表しました治療モデルは下記のものです。重症と中程度・軽症の線引きが、初診時データのみでの判別は困難と考えました。そこで、全てのclass III 症例は一定期間の治療反応を診てから判別するものです。

 早期治療の対象となる乳歯反対咬合の場合、まずいくら骨格性のものであっても、機能的に下顎が前方位をとったり、習慣性に前方位をとる場合もありますので、これらの修飾因子を消すためにも、機能的矯正装置を使用します。つまり、いきなり下顎の前方位の是正のためにチンキャップ装置を装着してみたり、上顎の後退の改善のために上顎前方牽引装置を使用しません。また、口腔内の特に上顎の口蓋側に装置は入れたくありません。舌の運動阻害になり上顎の自然な成長発育に問って好ましくないと考えられるからです。ですから、乳歯列期には上顎急速拡大装置やクワドヘリックス拡大装置、ポ−タ−拡大装置等は第一選択肢にはなり得ません。
 そこで、実際の臨床では、機能的矯正装置としてフレンケル III 装置とそれよりもより優れたMoo装置(調布矯正歯科クリニック:柳澤宗光先生のご考案)を使用しています。次頁にMoo装置の臨床例を提示しました。